黄金の三日間

 みなさんは,「黄金の三日間」という言葉をご存じですか?聞いたことがないという人がいるかもしれませんが,私は教師になって間もないころから聞いたことがありました。ただし,その意味を深く考えるようになったのは,随分後からなのですが・・この言葉は,教育実践家の向山氏の言葉で,担任にとって学級開きの初めの3日間がいかに重要かを表した言葉です。
 私は,教師経験が浅かったころと比べ,今ではこの言葉の重要性を認識しているつもりです。野中氏(2011他)は,「3・7・30の法則」を提唱し,始めの3日間,7日間(1週間),30日(1か月)が教師にとって勝負だと主張されています。そして,学級づくりは初めの1か月で80%が決まるとも言われています。私も,これらの主張には全く同感です。しかしながら,この子どもたちとの出会いの初期が最も重要であると分かっていながら,現実として前年度の3月末までは年度末であり,1年の中でもかなり忙しい時期になります。そして,春休み中も指導要録の作成や様々な残務処理に追われ,あっという間に新年度の4月1日が来てしまいます。初日から会議が続き,自分の学級の学級事務や教室環境整備,教材準備等,やらなければならないことは山のようにあります。そのような,状況の中で問題は「黄金の3日間」の準備がどれくらい満足にできるかです。正直,私自身の経験では,4月1日から準備をしようとしても,とても間に合いませんでした・・3日間どころか7日間も瞬く間に過ぎていきました。そして,気が付けば大切な3・7・30日が過ぎ,ようやく学級経営に力を入れることができる時期になっても,時すでに遅し・・もう,ある程度学級の雰囲気に慣れた状況の子どもたちには,今更指導が入りづらいのです。
 しかし,以前の投稿でも記事にしましたが,学級開きの前に3月時点の学級のゴールイメージを計画するようになってから,4月1日から計画するのでは遅すぎることに気づきました。特に,「黄金の3日間」は大切な時期で,私はこの3日間・7日間に1年間の中で最も力を注ぎ込むようにしました。いや,正確には準備し始める前年度の2月末から3月あたりの時間を含め,1か月強です。初めの3日間・7日間は,もちろん重要なのですが,「その間にどのような指導をするのかを細部に渡って検討すること」が何より重要だと思います。細かくとは,私に限っては初日の指導は,指導案の細案レベルで指導言まで考えるという感じでした。
 初めの3日間の細かい指導については,野中氏をはじめ,多くの実践者が書籍にまとめておられますので,ここでは提示しません。ここで私がみなさんに伝えたいことは,そもそも,その3日間の指導の準備をできれば,3学期から始め,遅くとも春休みの前までに終わらせておくということです。もちろん,先ほど触れたように3学期は1年の中でも非常に忙しい時期ですので,さらにその貴重な時間を使うことになります。ですが,そこまで苦労して準備する値打ちはあるということです。その準備に1年間の学級経営がかかっていると思えば頑張れるのではないでしょうか。一度,崩れた学級をもとに戻すためには相当な時間と苦労が伴います。また,一つ間違えば学級崩壊へとつながる可能性もあります。それを避けるためにも,「黄金の3日間」の準備は念には念を入れて行ってもよいのではないでしょうか。

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